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坂口安吾の小説は一つしか読んだことがない。坂口三千代さんのこともよく知らない。この本を初めて読んだのは20代の時だし、どこがいいのかと言われてもはっきり答えることはできない。でも、わたしの中にずっとひっかかり続けている。
安吾との生活や関わりが綴られていくわけだが、三千代さんは安吾についていく。安吾はどんどん壊れていくのに、この人はどこまでもついていくのだ。それが理解できない。ただ、それを否定したいとかそういうことではない。自分はそうしたいとは思わないし、そうできないだろうけど、この人の許容のしかたに圧倒される。
三千代さんは、最初の結婚で得た静かな家庭を守っていくこともできたかもしれない。でも結局は、安吾との嵐の生活を選んだ。全部が全部とは思わないけれど、これも女の人生の一つのお手本だよなと思う。