禺画像]
「老人たちの生活と推理」・・・表紙にそう書いてあったのを見て、これは買いだと思った。
老人の推理と言えば、ミス・マープルが有名だが、こっちは現代アメリカの金持ちの老人。高級老人ホームに、それぞれのコテージを持つという二人のばあちゃんが主人公だ。
やることがあまりないから、身近に起こった事件にチビばあちゃんが首を突っ込んでいく。デカばあちゃんがブレーキをかけながら事件は解決の方向に向かう。
とにかくお金持ちの人たちなので、いわゆる老人のみじめさは全くない。食事の場面がよく出てくるが、シェリー酒をひっかけてから、自分の席に着き、シュミット夫人の料理をいただくという毎日。こういう見たことも、将来見ることもない世界の描写もなかなかおもしろい。
このシリーズを何冊か読んでいくと、主人公の二人のばあちゃんの扱いが微妙に変わっていっている。偏屈・攻撃的なチビばあちゃんが主人公だったのだが、おおらかで包容力のあるデカばあちゃんの印象が強くなっていく。作者の中で、デカばあちゃんへの愛情が深くなっていったのだろうか。