禺画像]
小学校のとき、授業で「詩を書く」という時間があった。テーマは、「好きな食べ物」。
わたしは柿のことを書いた。
きみ子ちゃんは梨のことだった。それはこんな話だった。
・・・うちでは、家族みんな梨が好きです。だから、お母さんがむいていると、次々とつまみ食いに行って、剥き終わる頃にはほとんどなくなってい ます・・・
行儀悪い家だな、そんなことうちでやったら、お母さんからすごく叱られるって思った。
それに、「これが詩っていうものなの」とも。
あれから何十年も経っているのに、柿を食べると、きみ子ちゃんの詩を思い出す。
柿をむきながら、途中でわたしもいくつか食べてしまう。
「好き」ってそういうことなんだろう。
きみ子ちゃんは、梨のことじゃなくて「好き」のことを書いたんだなと、いまは思う。